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「白銀の墟 玄の月」3・4巻 感想

後編まとめて。

 

 

 

 

カタルシスはありました。

 ※1・2巻感想5

 

 

長い間待ち望んだ場面、それは、

 

驍宗が籠を拾い上げた場面

そして

泰麒の身体が溶けた場面

の、ふたつです。

 

そう、これを待っていた。

そして、待っていた通りの場面をくださって、本当にありがとうございます。

 

 

 

 

展開は丁寧に丁寧に、裏返せば遅々として進まず、そして鬱々としていました。

この暗く絶望に満ちた展開に焦れた読者も多いのではないかと思います。

私も途中、そう思いました。

しかし、それはひとつ前の感想で述べたように、ひとりひとりの生き様、ひとりひとりの役割を描くためであったとの結論に至り、気にならなくなりました。

暗い展開の中で、光は泰麒でした。

彼は本当に頼もしかった。

希望を捨てず、目的を見失わず、強く頼もしい。大きゅうおなりになりました。本当に。

そして、感想でつい快哉を叫ばずにはいられなかったあの場面。

暗闇で、籠を拾い上げた手。

あなたを待っていました。待っていたのです。会いたかった。

(神仙とはいえ、宝重があるとはいえ、強すぎです、あなた。

 暗い山の底で何年?6年?一人で?

 化物ですか!? しかも一人で騶虞まで捕まえて!?

 腕を戻して!? なんなの? 超人なの???)

しかし、そうは簡単にはいかない。

驍宗が戻り、泰麒が力をつけても、迫り来る絶望。

さすがに一瞬、私も絶望を感じました。

確かに、泰麒が死ねば、すべてが終わる。

そういうバッドエンドもありうるのかもしれない……と、一瞬思ってしまいました。

 

でも、そうではなかった。

泰麒は、このために黒麒であったのだなあと思いました。

だって、金の髪の人型が跪くよりも、獣型の麒麟が跪くほうが劇的じゃないですか。

人型のままでは、麒麟であるとはわからない。

でも、有無を言わさず獣型の麒麟であれば、それがなによりの印籠です。

 

そして、美味しいところを持っていく雁国の御仁。

彼らの存在の安心感たるや。

 

ここまで来てしまえば、もはや阿選との雌雄は決しました。

もう決まったことです。書くまでもない。

面白いこともピンチも起こらない。起承転結もない。

ただ、勝つだけ。

人が集まり、阿選が絶望し、驍宗が勝つ。

それしか起こらない。

今までが緻密に着々と絶望を書き連ねてきた中、明るい展開とわかりきった勝利など、蛇足でしかない。

私が待っていた二つの大きなカタルシスが、ぼやけてしまいます。

だからあれでいいんです。

戴史乍書の一文。あれでいいんです。

あの一行だけで、今までの展開を邪魔せず、なおかつ戴国の明るい未来を語っています。

それくらい、まるで光でも放っているかのような一文に、私は見えました。

 

 

裏側を知りたい、気持ちを知りたい、どうなったの、と思える部分は確かにあります。

短編集で補完できるかもしれないし、できないかもしれない。

想像で補うしかない、または、書いてある通りにとらえるしかないかもしれない。

 

続刊が約束されていることの喜び。

まずは、公開される短編一作を、楽しみにしたいと思います。

 

 

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