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シリーズ「十二国記」感想

「月の影 影の海」から「白銀の墟 玄の月」まで。

 

 

 

 

 

私は今まで、シリーズとしての「十二国記」の感想を書いてきませんでした。

1作1作の感想は書けても、完結していないのだから当然、シリーズ全体を通しての印象・感想はどうしても書けませんでした。

でもいま、こうして、陽子の物語から始まって、泰麒の物語で終わる、その一連の感想がすんなりと思い浮かびました。

今後、他国の物語や短編は発表されても、物語の根幹はこれで終わりでしょう。

なので、今なら書けます。

気持ちが熱いうちに書いてしまいたいので、まとまらない話にはなると思いますが、書いてみたいと思います。

 

 

「風の万里 黎明の空」のWH版あとがきで、小野先生は「行間で人がばたばた死んでいる」「その全員を書こうと思ったら、本の横幅よりも厚い本になってしまう」とおっしゃっていました。

私はそれがずっと、印象に残っていました。

数々の短編で、小野先生はそれを細かに書いてきました。

慶国羅氏の悲哀と悦び、柳国秋官の絶望、才国の、恭国の………

そこにあったのは、人が、民が、王が、それぞれに必死に生きている姿でした。

喜びと、悲しみと、怒りと、絶望と、そして希望と。

それぞれが己に課せられたものを背負い、それを成し遂げようとひたむきに生きる姿でした。

そこにあるのはそれぞれにとってのあまりにもリアルな現実で、彼らが本当に、そこに生きているのだと感じさせてくれました。

生きるというのは、理不尽なことばかりです。

目的に向かって真っすぐに進む人生なんてありません。

回り道をくりかえし、時に戻り、停滞し、それでも前に進む。

異世界ではあるけれど、リアルな、残酷ともいえるほどの人生が、そこに描かれていました。

 

その中で焦点が当てられたのが、陽子と泰麒でした。

彼らは、重すぎるほどの荷を課せられました。

しかし、彼らは幾度も絶望の淵に立たされても、決して諦めませんでした。

陽子と泰麒だけではありません。

延麒も、延王も。李斎も、そしてなにより驍宗も。

皆、苦しみ傷つき、時には絶望し、不信にもなり腐りもし、回り道や後戻りをしながらも、自分に課せられたものを自覚し、決して諦めず、流されず、強い意志をもって、目的を果たそうとしていました。

 

己の手に余ることであれば、手を借りてもいい。

少しの奇跡や偶然がそこにはあるかもしれない。

決して諦めない。

諦めなければ、どんなことも起こりうる。

己の足で、己の意志で、己に恥じず、流されず、強く生きよ。

登場人物ひとりひとりが、それを全身で、ものすごいパワーをもって、訴えてきました。

 

「私は十二国記という作品が、結末まで読み終わった瞬間、お墓まで持っていきたいと思うほど至福の感動をおぼえる作品になると信じているのですが、」

↑これは、2013年5月に日記に書いた文章です。

6年前の自分はやはり正しかった。

待ち続け、信じ続けていてよかったです。

 

どうもありがとうございます。

 

 

 

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